hcp硬質クロムめっき

当社では、ワークの形状に応じて、長尺槽や深槽など複数のめっき槽を使い分けています。 バフ研磨は社内で実施しており、フレキシブル、レース、半自動研磨機などを用いて対応します。 また、加工の内容に応じて、信頼できるパートナー企業様とも連携し、品質と納期の両立を図り徹底しています。

  • 加工例

    各種ロール、ガイド、機械部品、金型

  • めっきの厚さ

    数μmから2000㎛まで

  • 表面の粗さ

    バフ研磨、円筒研削により
    表面を調整する

めっき品質を支える硬度測定

JIS(H8615)ではビッカース硬さ750以上となっていますが、用途によっては受渡当事者間の協定によってよいことになっています。硬さの測定方法はJIS(Z2244)に記されていますが、原理は次のようなものになります。 四角錐形の圧子を試験片に一定の力で押し付け、どれだけ押し込まれるかを測定して硬度とし、実際には圧子が押し込まれた際に出来る圧痕の大きさを測定することによって行います。 硬度の要因はめっき液組成、添加剤の種類、めっき条件(温度、陰極電流密度)によって様々に変化します。

当社では、実製品は破壊検査のため測定ができないため、製品と同時に処理したサンプルを用いて硬度を測定しています。 このサンプルの硬度を評価基準とし、工程条件を適切に管理することで異常値の発生は確認されていません。 従来の測定結果では、すべてHv900以上の硬度を確認しています。

当社近くにある墨田区役所内にあるマイクロビッカース硬度計( 松沢精機製DMH-2)をお借りして測定しています。 ここでは常駐の技術相談員の指導のもとに、機器を使って自分で測定できる制度になっています。

クロムめっきの離型性と仕上げ特性

クロムめっきは、表面に他の物質が付着しにくい性質を持ち、離型性(すべり性、型離れ) に優れています。 この特性により、プラスチック成形用金型などの離型性を求められる用途で多く使用されています。 仕上げ工程ではバフ研磨を行うことで高い光沢を得ることができ、金型の表面仕上げがそのまま成型品の光沢面として反映されます。

耐摩耗性

耐摩耗性の評価方法は、JIS H8502に複数規定されています。 そのうち往復運動摩耗試験は、試験片と研磨紙を貼付した摩擦輪を一定荷重で接触させ、往復運動による摩擦を与える方法です。 その試験前後の質量変化(減量)を測定することで、被膜または素材の摩耗抵抗を定量的に評価します。

出典:(株)ハイテクノ様よりご提供

一般的に、硬い材料ほど耐摩耗性に優れる傾向がありますが、使用条件によっては必ずしもそうとは限りません。 用途やしゅう動相手との組み合わせによっては、むしろ適度な硬さを持つ方が良好な結果を示す場合もあります。 具体的な測定例は左図を参照してください。

測定は、東京都鍍金工業組合環境科学研究所にある摩耗試験機をお借りして測定します。 また、しゅう動相手との相性にも注意が必要です。 青銅、黄銅、クロムめっきなどと組み合わせると、かじり(焼き付き)現象が発生し、摩耗が早まることがあります。 一方、硬質クロムめっき自体は摩耗が非常に少なく、表面を精密に仕上げることで、相手材の摩耗も抑制できるという特長があります。

めっき後の仕上げ寸法

機械部品には、機能上の理由から「寸法公差(許容誤差)」が設定されています。めっきを施すと寸法が変化するため、めっき工程をどう管理して寸法を指定公差内に収めるかが重要です。
その方法には大きく分けて「めっきで仕上げる」か「研削で仕上げる」かの2通りがあります。

めっきだけで仕上げ寸法に入れる方法

めっき厚を精密にコントロールして、研削などの後加工をせずに指定寸法に合わせる方法です。

工夫のポイント

  • ジグ(治具)の設計
  • マスキング方法・材料の工夫
  • めっき条件(電流・温度・時間など)の最適化

特徴

  • 少量品や形状が複雑なものは難しい
  • ロット数が多くなるほど条件を安定させやすく、精度向上が可能
  • 研削を省けるためコストダウン効果が大きい
  • 高度な技能・経験が必要で、当社では熟練技術者がこれを担っており高く評価されている

研削によって仕上げ寸法に合わせる方法

めっきをやや厚めに施し、その後、研削加工(円筒研削・平面研削)で正確な寸法に仕上げます。

特徴

  • 精度は出しやすい
  • 「余分なめっき+研削工程」が必要なためコストが上がる

図面指定時の注意点

部品精度が高まっている昨今、めっき後の仕上がりを完璧にするためには、設計段階での「公差指定範囲の余裕」が鍵となります。厳しい公差を指定されますと、めっき厚のわずかなバラつきで図面通りの加工が難しくなります。ぜひ、めっきの特性を考慮した寸法指定のご検討をお願いします。

めっき膜厚の測定方法

めっきの膜厚を測定する方法にはさまざまな種類があり、非破壊で簡単に測れるものから、破壊して正確に測定するものまで、それぞれに特徴があります。以下に代表的な4つの方法をまとめます。

蛍光X線式試験法(非破壊)

試料にX線を照射し、物質固有に放出される蛍光X線を検出して膜厚を求める測定方法です。

特徴

  • 非破壊で短時間に測定可能
  • 精度が高い
  • 試料サイズに制限があるため、大きな部品には不向き

磁力式試験法(非破壊)

磁性体(鉄など)の上に形成された非磁性皮膜(銅・クロムなど)の厚みを磁気の変化で測定します。

特徴

  • 非破壊で測定でき、現場での検査に適している
  • 鉄などの磁性体素地+非磁性めっきに限定され、他の素材では使えない

電解式試験法(破壊)

めっき皮膜に電流を流して溶解させ、溶かすのに要した電気量から膜厚を算出します。

特徴

  • 破壊式だが、多くのめっき金属に対応可能
  • 精度が高く、研究・開発用途にも利用される

顕微鏡断面試験法(破壊)

試料を切断し、断面を精密に研磨して顕微鏡で直接膜厚を測る方法です。

特徴

  • どんなめっきにも対応でき、最も確実な測定法
  • 試料の切断・研磨が必要で手間がかかる

テストピース(板)に硬質クロムめっきをした時の厚さ分布 (株)ハイテクノ提供

墨田区施設での蛍光X線での膜厚測定風景

めっき膜厚のバラツキのイメージと改善策

■ バラツキのイメージ

  • 角にはめっきが多くつく
  • へこんだ所にはめっきが薄くなる
  • 角はC面よりR面の方がなめらかにつく

■ 東電工舎がご提案する改善策

  • 補助電極を入れてめっき厚のバラツキを補正
  • めっき厚が薄くなるところには補助陽極を入れる
  • めっき厚が厚くなるところには補助陰極を入れる

マスキング

めっき工程では、すでに精密寸法に仕上がっている部分や電気的・機能的な理由でめっきを付けてはいけない部分などがあり、これらをめっき液から保護するために行う処理を「マスキング」と呼びます。 マスキングは、めっきを付けたくない部分を覆って保護する工程であり、特殊塗料・金属テープ(アルミ・鉛など)・ジグなどを使い分け、製品の仕様や形状、作業効率に応じて以下のような最適な方法を選定します。

  • 特殊塗料を塗る
  • 絶縁テープを巻く
  • 金属テープを巻く(アルミ・鉛など)
  • 治具(ジグ)で覆う

設備

当社では、深さ0.7~2.2m、長さ0.8~4.5mのめっき槽を用意しています。 被めっき物の大きさ、めっき仕様、素材の材質によってどのめっき槽を使うかを決定します。

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